ryo

オームの法則&金属の抵抗と抵抗率(物性値)の関係式の導出

中学校の理科では,普通オームの法則を暗記します。
一方,中学受験に向けて習う理科では,オームの法則に加え,電熱線(ニクロム*1線)の電気抵抗が,ニクロムの長さに比例し,断面積に反比例することも扱います。

そこで,今回は,形状を決めた,タングステンからできているフィラメントなどを除く,一般の金属に電圧をかけ,以下の2つを導きます。

オームの法則

②金属の抵抗値が長さに比例し断面積に反比例すること

断面積 S(\mathrm{m^2}), 長さ l(\mathrm{m})の金属中に電荷 -e(\mathrm{C})自由電子*2 1\mathrm{m^3}あたり n個ある状態を考える。

この金属の両端に電圧 V(\mathrm{V})をかけると,金属内部に,向きが,正極から負極へ向かう向きへ,大きさが, \dfrac{V}{l}(\mathrm{N/C})の一様な電場が生じ,それぞれの自由電子は大きさ e\dfrac{V}{l}(\mathrm{N})の力を受ける。なおかつ,自由電子は速さ v(\mathrm{m/s})に比例する抵抗力 kv(\mathrm{N})も先程の力とは逆向きに受け,一定の速さで移動すると捉えられる。力のつり合いから v=\dfrac{eV}{kl} \tag{1}

ところで,電流 I(\mathrm{A})とは,ある断面を 1秒間に通過する電気量であるから, I=enSv \tag{2}

(2)に(1)を代入して, Vについて解くと V=\dfrac{kl}{e^2nS}I \tag{3}
(3)は電圧と電流が比例することを表し,金属の抵抗値は長さに比例し,断面積に反比例することも表す。このような抵抗を直線抵抗または線形抵抗といい,フィラメントなどI-Vグラフが曲線(特性曲線)になる抵抗を非直線抵抗または非線形抵抗という。

*1:ニッケルとクロムの合金,もしくは,ニッケルとクロムに少量の鉄を加えた合金

*2:金属は金属原子が規則正しく並んだ結晶構造を成しており,電子は特定の原子内に属せず自由に動き回わることができる。