ryo

ジュールの法則の導出⇒電力⇒電力量

断面積 S(\mathrm{m^2}), 長さ l(\mathrm {m})の導線の両端に V(\mathrm{V})の電圧をかける。自由電子が平均の速さ v(\mathrm{m/s})で移動したとすれば, t(\mathrm{s})間の電子の平均移動距離は vt(\mathrm{m})である。導体内の電場の強さ E(\mathrm{V/m})
 E=V/l \tag{1}
であるから, vt(\mathrm{m})離れた2点間の電位差 \Delta V(\mathrm{V})
 \Delta V=\dfrac{V}{l}vt \tag{2}
電子の電荷 -e(\mathrm{C})とすると, t(\mathrm{s})間に電子が電場から得られるエネルギーは,
 e\Delta V=\dfrac{eVvt}{l} \tag{3}
導体中の自由電子の密度を n(\mathrm{個/m^3})とすると,導線中の自由電子の総数は nSl(個)である。このすべての自由電子が上式のエネルギーを電場から得る。それを Q(\mathrm{J})とすると
 Q=\dfrac{eVvt}{l}\times nSl=envSVt=IVt \tag{4}
これがすべて導線中のイオンの熱振動に変換されるからジュール熱*1に等しい。

ジュールの法則から,単位時間に電気器具によって消費される電気エネルギー・電力=電流×電圧が導かれ,その総量という意味で電力量=電力×時間が導かれるという体系になっている。

参考
近角聰信, 三浦登(2013)『理解しやすい物理』, 文英堂

*1:導体に電流が流れると発生する熱